〜その1 湘南の地で再考する〜

これから半年に渡り連載させていただきます。
二宮町のぽんぽこファームで、微生物ネットワーク農法にて、大地に根ざした野菜を育んでいる「園主 中村」と「事務長 岡嵜(オカザキ)」のかけあいトークをしていきます。

中村「はじめにハワードについて説明してくれますか?」
岡嵜「有機農業を広めたイギリス人です。植民地インドでインドール式農法を確立しました。日本で言えば明治・大正・昭和を駆け抜けた実践的研究者です。」
中村「彼は私がやってる微生物ネットワーク農法とどんなつながりが有りますか?」
岡嵜「彼は有機農業ですが、微生物に注目してたんです。インドでは牛糞を使ったフムスを使ったので堆肥漉き込み農業と思われている感じですが、それは高温乾燥のインドの農法。彼が今の湘南に来たら微生物ネットワーク農法に感動すると思うんですよね!」
中村「本当?ちゃんと文献に書いてあるのかな?」
岡嵜「そこを連載で詰めていきましょう! 農業聖典 と ハワードの有機農法 という本が彼の有名な著作です。一緒に読みときましょう。」

あしがら農の会 通信 22年2月掲載

〜その2 牛糞は植物性の残滓?〜

中村「土中の微生物を増やしていくにはハワードは植物の残滓が大事って言っていますね。なのに牛糞を使っている事の意味を考えたいですね。」
岡嵜「インドに行って分かったんですが、あれは牛が集めた草の塊なんですよね。臭わないし、しかも乾かして燃料として使っていたり、日本人にとっての藁みたいな扱いなんですよ。」
中村「なるほど。牛は草をきざんで微生物も増やして土へ戻しているという訳ですね。でも、本来、微生物を増やすには草よりも木々の腐食の方がより良いんです。」
岡嵜「それはあの乾いただだっ広い大地だからなんです。鬱蒼とした森が少ないからです。」
中村「すると大地に生える草を活用するしかないんだね。日本では考えられないですね。我々にとっては森が身近にあるからね。場所によって資源は違うということですね。」
岡嵜「そうなんです。ハワードは動物性堆肥として牛糞を選んでるんじゃないと思うんですよ。」

あしがら農の会 通信 22年3月掲載

〜その3 持続可能な農法〜
中村「微生物ネットワーク農法では、微生物と植物とのエネルギーのやりとりの中で、畑が循環するという仕組みをいかしています。
ハワードは同じような事をことを言っているんでしょうか?」
岡嵜「そもそも彼は地域の自立のための農業ということを基本理念にしているんです。」
中村「メカニズムを追求するというよりも、人々の幸せ願う探求者のようなところがあるんだね。」
岡嵜「著書の一節に『民主主義の真の温床は肥沃な土壌であり、その新鮮な生産物こそ民族の生得権なのである。』という文言があるんです。」
中村「その頃の時代背景にもかかわらず、世界のことわりをきちんと見つけようとしていたんですね。」
岡嵜「搾取とは対極の農業を追求し、その地域内の資源循環で成り立つ農業が出来ることを実践していたんです。」
中村「そうですか、それは資本主義の資源消費型農業の推進者には煙たい存在でしたね。」
岡嵜「ええ。でも変わり始めているこれからの時代には改めて注目されると思うんです。」

あしがら農の会 通信 22年4月掲載


〜その4 日本は水の国〜
中村「ハワードは日本には来ていないのでしょうか?」
岡嵜「来てないです。でも日本についての記述はしっかりあるんです。雨の多い国で国家予算の多くを治水に使っていることなどを特筆してます。」
中村「農法は地域の特性、つまり気温と風水土によって変わってきます。そういった目線で世界各地の農業を見ていたようですね。」
岡嵜「彼は腐植こそ農業の基本と言っているので、地域ごとに違った腐植を見いだしたと思います。我々の森林に囲まれた土地を見たら絶対に山のポテンシャルを見逃さないと思いますよ!」
中村「そうですね。微生物ネットワーク農法は腐植ができた更に先を見ている訳ですが、きっとこの農法にも興味を持ってもらえただろうなと感じます。」

あしがら農の会 通信 22年5月掲載

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